イイコでしょ?

と、気合い入れてみたはいいものの…






電車を乗り継ぎ、休日賑わう表参道をブラリ歩く。





オシャレスポット…あんまり来た事なかったからな。





人いっぱいで怖いし…





ハムスターのように体を縮ませて、人並みをすり抜ける。





すれ違うカップルを羨んで見ながら、表参道ヒルズへと足を踏み入れた。
















三時間タップリ歩いて、結局何も買わなかった。





成瀬さんの服の好みも知らないから、どれが正解なのか…





悩みすぎて店員さんすごい困ってたな。





重い足取りは、このスーパーの袋のせいでもある。





三時間も表参道ヒルズを歩いたおかげで、夕飯を作る時間がなくなって、近所で買ってきたのはカレーのルウ。





ほんと情けない。





全部が空回りすぎて笑える。





トボトボとマンションの廊下を歩き、部屋の鍵を開けドアを開く。





あれ?なんか人の気配が…





玄関には成瀬さんの綺麗な革靴と一緒に、乱雑に置かれた薄汚れたスニーカーが…





ってコレまさか…





「おぉ~!おかえり美希~!」





廊下をバタバタとやって来たのは、






「お父さん?!」
















「いやぁ~、なんかね、かーちゃんがすんごいプリプリしちゃってさぁ~。」





100万はする黒の牛革のソファーにデカデカと座る、ウチのお父さん。





ビールっ腹が更に目立って、シャツのボタンが軽く悲鳴を上げている。





そんなお父さんをカウンターから横目でジロリと睨んだ。





「何で突然来るのよ!てかまたお母さんと喧嘩したの?こんなとこまで押しかけて来ないで!」




「まぁまぁそうカリカリすんなって~。かーちゃんみたいだぞっ♪ねぇ翔くん!」





「そうですね」





大きなスツールに脚を組んで座ってコーヒーを飲みながら、私を見て口角を上げる成瀬さん。






まさかお父さんが来るなんて…




女子力上げてる場合じゃなかった。




一ミリも上がってないけど(泣)






唇を尖らせながらキッチンに入り、とてつもなくフツーのカレーを作る支度を始めた。