イイコでしょ?

「あの…さ、カズにぃ?」




「なに?」




「違うの。…違うと思うの。」




「…なにが?」




「私達、昔の恋愛に…囚われてるだけだよ。」






カズにぃは黙って私を抱きしめたまま、私の言葉を聞いていた。





「再会してからずっと、心の奥であの頃の私がソワソワしてて…

後悔ばかりだった恋を、もう一度やり直したいって頭の片隅できっと、思ってたんだよ。」






こうやって抱きしめられて、愛を確かめ合って。




気持ちの通ったキスを繰り返す。





好きだよ、って言われて、




私も好きって言って。




離れないように指先を絡める。




将来の事とか語り合って、たくさん笑ってたくさん泣いて、怒ってケンカして。





拗ねる私をカズにぃが優しく抱きとめたりして。





そういう事だよ。




そういう事をしたかったんだ。




あの頃の私達は。





お互い想いあっていたのに、ずっと側に居たクセに見えなかった。




だから何も得られなくて、あるのは涙だけ。





その悔しい気持ちを7年経った今、やり直そうとしてみても…





何か違うの。





あの頃の私じゃないし、





あの頃のカズにぃでもない。





もう、7年前の私達には戻れない。






それに…私の心には…






「確かに。美希の言う通りかも知れねえな。7年振りに美希に逢えて、舞い上がってたんかも。」





スーツのままのカズにぃが、ゆっくり立ち上がりベランダに続く窓をガラリと開けた。





夜風が二人の髪を靡かせる。





「おいで?」





振り返る事もせずに言ったカズにぃの声はとても優しくて、




誘われるように私もベランダへと出た。