Kazu side
「カズにぃ、プラネタリウム連れてって?」
その誘いは、俺にとっては辛いものだった。
すぐ横に感じる美希のぬくもりに、まるで初恋みたいにドキドキとときめいてる自分を、
どうしても認めたくなくて。
俺は「カズにぃ」という美希にとって、近所のお兄さんであり続けなきゃいけない。
美希はまだ高校生。
俺はもう社会に出てて、自分に責任を持たなくちゃいけない年齢で。
年齢なんて関係ねぇよ、なんて思ったりもしたし、
美希が俺を想ってくれてるのも、手に取るように分かっちゃって。
それでもやっぱり、美希は俺にとって大切な存在で、この関係を壊したくなかった。
怖かったんだ。
手にした瞬間、離れ離れになる事は最初から分かってたから。
NY支社へ転勤する事は入社時から決まっていた。
想いを伝え合って、美希を自分のものにして…
一瞬の幸せを与えて、遠くへ行っちまうなんて残酷な事、俺には出来ない。
まだ高校生なんだ。
これからたくさんの出逢いがあって、たくさんの恋も経験する。
側に居られない恋人なんて、居ない方がいい。
美希の事だからきっと会いたくて泣くんだろう。
そんな辛い思いをあいつにさせたくねんだ。
だったら最初から何もない方がいい。
その方がお互いにとっていいように思った。
だからなるべく会わないように、仕事に逃げた。
それでも美希は笑顔で俺の前に現れる。
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何度も何度も、抱きしめてやりたいと思い、
何度も何度も、その唇に触れたいと思い、
何度も何度も、好きだよ…って伝えたかった。
そして俺は美希に転勤を告げる事なく、旅立った。
いつ帰って来れるかも分からないNYへ。
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