イイコでしょ?

テーブルに並ぶ、二人分のホットケーキ。





一応焼いたんだけど…やっぱり帰って来ないし。





何か仕事で急用とかかな?





一人で食べるホットケーキ。





二人で一緒に食事した試しがないけど。





テレビとする食事にももう慣れた。




余ったホットケーキをラップして、食べ終えたお皿と、使った料理器具を流しで洗う。





すると、廊下の奥の方から足音が聞こえてきた。




えっ?帰って来た。





手が泡だらけの私は、出迎えるのを諦め、そのまま洗い物を続ける。





リビングのドアを開けて入って来た成瀬さんは、一直線に私の所まで歩いて来て、





「何で電話しねぇんだよ。」





「はい?」





背後に立った成瀬さんが、不満気な声を漏らす。





「朝起きて夫が家に居ねえのは緊急時じゃねぇのかよ。」





「いや、あの…いきなり電話したら怒られるんじゃないかなーって…?」





泡だらけの手を止めて、後ろを見ずにそう言うと、はぁ…と、大袈裟なため息が返って来た。





電話しなくても怒ってんじゃん。





自分の選択ミスに、激しく後悔する。





「ふぅーん。美希にとっては俺は居ても居なくてもどーでもいいんだ。」





「そんな事言ってな…」





言い終わらない内に、後ろから成瀬さんの手が伸びてきて、私の口を塞いだ。






「うるせぇよ。言い訳なんて聞きたくねんだよ。好きなんだろ?俺の事。じゃあ言ってみろよ。淋しかったって。」





耳元で囁かれる言葉は、私を弄ぶかのように突いてくる。





淋しかったけど…そんな強引に言わせるなんて。





「言いたくないです。」





櫻井さんの手の奥で反抗する。





「強情なオンナ。素直に言えばいいのに。」





「やだ!言わない!絶対言わないんだから!」





「じゃあこうしたら言う?お前のホンネ。」