イイコでしょ?












ピピピ…ピピピ…





ケータイのアラームが、いつもの時間に騒ぎ出す。






手の中で鳴るケータイ。






瞼をゆっくりと開き、意識がハッキリしてくるとガバッと勢いよく起き上がる。






……あれ?





私あのまま寝ちゃったはず。





キョロキョロと見回し、自分の部屋に居る事に驚く。






成瀬さんが?






成瀬さんしか居ないか…






あぁ…最悪だ。






遅く帰って怒らせて、ソファーで居眠りして部屋まで運ばせて…






何やってんだ私…






お酒も飲んでないのに二日酔いみたいに頭が痛い。





右手で頭を抑えながら大きくため息をついた。






こんなんじゃ番号どころか…






バタンと後ろに倒れ込むと、その風圧で飛ばされた一枚の紙が私の上にヒラヒラと舞い落ちて来た。






ん…何あれ。






オデコにピトッとくっ付いた紙をくしゃっと掴んで覗いて見る。





んーーー…






「うそっ!?」






再びガバッと起き上がり、その紙をもう一度確認する。





番号…






チラシの裏にデカデカと書かれていたのは11ケタの電話番号。






その下にはアドレスが。






サラサラと、流れるように書かれた文字や数字を何度も見返しては頬を緩ませた。






やった…成瀬さんの番号…






急いでケータイに登録しようともう一度紙に視線を落とす。





ん?何か書いてる。






ついでに書きたしたように小さく書かれていた文字を読む。





「緊急時以外は連絡するな…ってなにこれ。酷い…」






番号教えて貰えて朝からウキウキだったのに…





一気に崖から突き落とされた感じ。





私だってメールで…





今日のご飯はハンバーグだよ♡





とか…送ってみたかったのに。






まぁでも♡を付けるまでにはすごい道程がありそうだけど。





それでもやっぱり、普通にメールとか電話とか…楽しみたかったな。





なんだかモヤモヤとさせたまま布団から出て、成瀬さんが電話番号を書いてくれたチラシを、壁に掛けてあるボードに画鋲で貼り付けた。





成瀬さんからの、気持ちの入った初めてのプレゼントだから。





貰った結婚指輪に、なんの想いも詰まってないからね。





最後の一文に、ちょっと不満はあるけど。





それでもやっぱり、私にとっては大きな一歩で素敵なプレゼントだった。