イイコでしょ?

自宅のドアをそっと開ける。





なるべく音を立てないように。





ただいま…と心の中で言いながらスルリと身体を滑り込ませた。





こんなに遅くなったの初めてだな。





あれ?電気消えてる。





部屋に居るのかな?





ソロソロと廊下を抜けて、リビング奥の二人の部屋の前に立つと、右側のドアに耳を当てた。





無音…寝てんのかなぁ。






ホッとしたような、悲しいような…






別に私が遅く帰ろうが、どうでもいいんだよね。





逆に言えば彼が遅くなったとしても、何も追求出来ない。





大きく鼻で息を吐いてうな垂れて、踵を返してお風呂へ向かった。


















お湯を溜めてる間にメイクを落として、半分程溜まったところで服を脱ぎ中に入る。






お気に入りのミルクの入浴剤。





甘い香りが浴室いっぱいに広がる。






前に私がこの入浴剤を入れているところを見られた時、






「こんな安物なんかで満足出来るなんて、幸せだな。」






と言い捨てられてムカッときたけど、次の日その入浴剤が大量に棚に並んでいた。






なんでか聞くと、






「取引先の専務にたまたま貰ったんだよ。使いたきゃ使え。」






言い方はすごく冷たいのに、笑顔が我慢出来ないくらいに嬉しくって、見られないように背中を向けた。






ミルクの香りに包まれながら、そんな事を考えて、なんだか恥ずかしくなり白いお湯を顔にパシャっとかけた。