イイコでしょ?

その漫画家さんの仕事場だという一軒の家の前で、漫画片手に深呼吸。






この人の事、ネットで調べたけど本名も載ってないし色々謎に包まれてるんだよな…





ペンネームは山田太郎ってなんかふざけた名前だし。





お土産に持って来た駅前のケーキ屋さんで買ったシュークリームさえも自信を無くす。





ド、ドキドキする…






僅かに震える手で、インターフォンを押した。



















「なに?」






ん?、と思わず首を傾げてしまう。





だって、どう見ても制服着てるし高校生にしか見えない。





「あのここって、山田先生の仕事場って伺って来たんですけど…」






「だから俺の仕事場で合ってるけど、まずあんた誰?名乗りなさいよ。」





て事はこの人が山田先生?



高校生が書いてたの?!



って驚いてる暇はない。



明らかに不機嫌そうな山田先生に、私は急いで名刺を取り出し自己紹介しながら差し出した。






「先ほど電話でお話させて頂いた件でお伺いさせて頂いたんですが、お時間少しよろしいですか?」






山田先生は名刺をジッと見つめてから、「入って、」と一言。





「ありがとうございます!」とペコペコしながら先生の後に続いた。

















「ここさ、汚いじゃん?掃除してくれる?」





「はい?」






私が話を進める前に、台所の掃除を頼まれる。





それはもう可愛い顔して強引に。





そこで「喜んで♪」なんて言ってサクサク掃除を始めてしまったのは、きっとこの先生が…






「似てる。カズにぃに。」






そっくりなんだけど、この性格の悪さは…



チラッとソファーに居る先生を覗き見してみると、私がお土産で渡したシュークリームをお皿に移さずダイレクトにかぶり付いていた。





やっぱりカズにぃとは全然違う!





そんな事考えてジタバタしてると、「早くしねぇと俺、もう寝るけど?」と悪びれもせず言った。





来て早々台所で鍋の焦げ付きをゴシゴシ洗ってるなんて…私何しに来たんだろ。