イイコでしょ?













後部座席には頭にハテナを浮かべた二人が座る。




助手席に座った私もハテナだけど。





どうして翔さんが突然二人を送るなんて言い出したのか、



それは翔さんにしか分からないけど。





結婚して直ぐぐらい、翔さんは二人にすごい剣幕で怒鳴りつけていた事を思い出して、一人嫌なドキドキで冷や汗を流していた。





また何か言う気かな…。



だったらどうしよう。






私の心配は、車が進むにつれて膨れ上がっていった。


















「あの時は悪かったな。」





信号待ち、ピリッとした空気の中翔さんの口から出た言葉に、私たちはポカンと口を開く。





どうやら私の心配は無駄に終わったみたい。





不器用な翔さんから、部下に対して「悪かった」なんて言葉が出てくるなんてよっぽどの事で。





きっと深く考えての事なんだと思った。






「美希の事、よろしく頼む。」





「翔さん…」





言葉の足りない翔さん。




私の最近のハードスケジュールを心配して、仕事の仲間として二人にフォローをして欲しいっていう意味だと理解したけど。






「副社長、それじゃ美希を嫁に出すみたいですよ」





「確かに」





「翔さんったら」





三人の笑い声が篭った車内に響くと、青になった信号。




「そんなつもりじゃねぇ!」と焦りながら言う翔さんは、後ろの車からクラクションを鳴らされ、顔を赤くさせ後ろの車に怒りながら車を発進させた。






クスクスクスクス。





ピリッとしていた空気はいつしか柔らかく包まれて、



みんなの中にあったわだかまりは霧が晴れるように消えてしまったみたい。





すごく嬉しかった。




私の仕事上の大切な仲間なんだもん。




翔さん、私の為にこうしてくれたのかな?







松本さんと赤ちゃんの話をしている翔さんの横顔を見て、嬉しくて少し目頭が熱くなった。