イイコでしょ?













重なった身体を、揃ってガバッと起き上がらせたのは、新井さんの呑気な声のせい。






首が千切れそうなくらいに振り回して新井さんの姿を探すと、冷蔵庫のドアの影からひょこっと顔を出した新井さんを見つけた。





翔さんの、なんで勝手に入って来てんだよ!って言う怒りの言葉も聞こえてないみたいに、勝手に取り出したビールをプシュっと開けて一口飲んだ。






「ぷはぁー…美味い。仕事の後はやっぱりコレだな。」





「人の話聞いてんのかよ!」





「んー?美希のキスが上手くなったって話?」





「……」






「いつからそこに…っつかなんで入って来れた。」





怒りを堪えるように震える声でそう言うと、新井さんはビールを片手に持ったまま、反対の手でネクタイを緩め、私と翔さんの間にボスン!と腰を下ろした。





「コレ、返しに来たんだよ。」





と、私の前に渡してあった合鍵を差し出した。





ピンクの鈴が付いた鍵は、私の掌に落ちて、チリンと小さな音が鳴った。





「剛くん。」





「なに?」





「何で合鍵持ってんの?」





「んー?翔ちゃん言ってなかった?美希から貰っとけって。」





「俺はんな事一言も言ってねぇ…」





「えっ?言ってないんですかっ?」





新井さんは素知らぬ顔してビールを飲んだ。




とても美味しそうにぐびぐびと。




要するに、翔さんが合鍵を新井さんに渡すよう言ったのも、家に入ってビール飲んだり晩御飯食べて行くようにっていう言い付けも、




全部が嘘で、私はバカ正直に全て信じて夕食までをも振舞ってしまっていた。





新井さんってば何考えて…






翔さんにこっぴどく叱られてる新井さんだけど、涼しい顔してビールを飲み続けていた。