イイコでしょ?













甘辛いいい匂いが部屋中に広がる。





お皿に乗ったブリの照り焼きをテーブルまで運んで、部屋で仕事中の翔さんに声を掛けた。





「翔さん、晩ご飯準備出来ましたよ。」





チェックのエプロン、首を抜いて外し、キッチンのいつもの場所へ引っ掛けた。





直ぐに出てきた翔さんが、フラリと席に着くと、私も向かいに座って二人でいただきますをした。


















「何で新井さん、文句言いながらもずっとボディーガードしててくれてたんですか?」





「あぁ、単に剛くんが仕事でミスったのをフォローしてやったから。」





ミス…と、お箸を咥えながらあの新井さんもミスとかするんだ…なんて考える。





なんかあの人、ミスしても知らんぷりしてそうだな。






「あの、いつも迎えに来てくれる謎の亮って方は一体誰なんですか?」





「亮は剛くんの高校時代の後輩だよ。それよりお前そんなに剛くんの事が気になんのかよ。」





不満気に言葉を漏らすと、チラリと私を睨みつけた。





「や、違いますって!ちょっと気になっただけですよ!」




ブンブンと首を振り慌てて否定してやるけど、





「やっぱり気になってんじゃん。ボディーガード頼む奴間違えた。」






ブツブツと不満を並べたてる翔さんだけど、それさえもちょっと嬉しくなる。





やっぱり大好きな人とこうして一緒に居られるのって、心がポカポカして穏やかになる。





嫌いな昆布巻きも、二人で食べるとペロッと食べ切れちゃうし。





だからやっぱり、二人がいい。