イイコでしょ?













真横に広がる、ちぐはぐな光景に何度も目をやる。





「なんだよ。チラチラ見んな。」






「だって…翔さんが電車乗ってるなんて…違和感。」






「俺だって電車ぐらい乗るし。常識だろ?常識。」






「でもさっき、切符の買い方解ってなかったですよね」






先ほどの券売機の前で頭を抱えていた翔さんを思い出し、クスクスと笑いがこみ上げてきた。





我慢出来ずに笑ってやると、翔さんはバツの悪そうな顔をしながらプイと窓の外を眺めた。





ホテルからの帰り道。






翔さんが勝手に会社に電話して、今日は休むと言ってくれたおかげで、平日昼間にのんびり電車なんかに乗ってる。






真上に上がった太陽の温もりがポカポカと暖かく、乗客も疎らな車内で並んで座る私たち。






向かいには母親の横に行儀良く座った五歳くらいの女の子。






バッチリと視線がぶつかると、私はニコリと頬を緩める。






それを見た女の子も私ににっこりと笑顔を向けた。





ピンクのリュック下げて、どこ行くのかな?なんて考えてると…





_____ぎゅっ





膝に置いていた手は、翔さんの大きな掌によって温かく包まれた。





突然やって来た翔さんの温かさに驚いて、女の子を見たまま目をパチクリさせた。







女の子が、その光景を目の当たりにし、わぁ!とでも言うように両手で口を抑えた。





そして私にピースした。





女の子はおませさんだな。





私も空いた方の手でVサインを送ってあげた。