イイコでしょ?

思い出すだけで心臓が止まってしまいそうになる。





顔を真っ赤にさせながら、平然を装うけど、隣の海崎さんは首を傾げながら私を見ている事に気がつき、

こんなんじゃダメだ…と、気分を入れ替える為にコーヒーを買いに立ち上がった。





自販機前にある二つ並んだベンチに腰掛けて、いつもは飲まないブラックを飲む。





やっぱ苦…





成瀬さんがいつも飲んでるブラックの缶コーヒー。




やっぱり私はまだまだ子どもって事?





そりゃまだ25だし…7つも離れてるし…ブラック飲めないし…した事ないし…






子どもだと思われても仕方ないか。






どうしたら認めてもらえるんだろ。





うーん…と色々考えていると、ハッと我に返る。





何考えてんだ私。





これは偽装結婚なんだから。





初めからそういう約束だったじゃん。





成瀬さんにとって結婚はただ単に逃げる為の手段。





私、何時の間にか欲が出てた?





再確認して落ち込む。





成瀬さんと一緒のコーヒーなんて頑張って飲んだりして…





バカみたい。





全然減らないコーヒーを見つめながらため息をついた。















「休憩?」





突然降ってきた声に驚いて、キョロキョロと首を動かす。





スッと私の前を通り過ぎた、見かけない男性。





どこの人だろう…





「お疲れ様です。」





とりあえずの挨拶を交わして、立ち去ろうとすると…





「美希。」





名前を呼ばれた。





なんだか懐かしい声…





直ぐにもう一度その男性に視線を向けた。





しゃがみ込んでコーヒーを取り出している男性の背中を見つめる。





誰だろ…なんで私の名前?





私と同じ缶コーヒーを手にした男性がゆっくりと振り返る。





「お疲れ美希。」





「……かっカズにぃ?」