イイコでしょ?












返す言葉もない。






その場で私に正座をさせて、懇々と説教をする翔さん。





その横、ツインのベッドに寝転んだ新井さんは大きくアクビをしながら私たちの様子を伺う。






「俺が来なかったらお前今頃あいつにやられてたぞ!」





そうかも知れない…




そうかも知れないけど。




こっちにだって色々事情があるのに。




だけど朝から電話の繋がらない私を心配して、朝の会議をドタキャンしてまで12時間掛けて帰国してくれた翔さんには…





返す言葉もないよ。





自分の失態に肩を落とし心から反省する。






「あの…どうしてここが?」






それはさ、と言いながらむくりと起き上がった新井さんが、これまでの経緯を話してくれた。

















元々は私の朝寝坊から始まった。






今日は朝一で会議があるのに、二度寝をしてしまった私は家を出る10分前に起きてしまった。





更にケータイの充電もせずに寝てしまったので、電池も僅か…




慌てて会社へ行くと、そのまま会議が始まり、ケータイはデスクの引き出しに放り込んだまま…電池は切れて。





毎朝してる電話もなく、更には繋がらなくなってしまったのに心配した翔さんは、急いで帰国。






まだ仕事中だった新井さんを引っ張り出して、まだ家に帰らない私を一緒に探す事に。






色んな人に電話して聞き回った結果、カズにぃに行き着き、そこで海ちゃんと居たカズにぃが、私をこのホテルで見たとの情報を受けてやって来た、らしい。






私に手を伸ばしていた佐藤さんを見つけ、殴りかかろうとする翔さんを、



新井さんがめんどくさそうに止め、その隙に佐藤さんは部屋から逃げるように走り去ってしまった。






「何で俺まで説教されなきゃなんねーんだよ。」






「剛くんがちゃんと美希に付いてねぇからこんな事になったんだろ?」





「お前の親父から頼まれた仕事なんだけど。文句あんなら親父に言え!」





へそを曲げた新井さんが、仕事終わりのスーツのまま、布団にバフっと潜り込んだ。