イイコでしょ?












「なんでカレンが居るの?」





佐藤さんは割といつもの声だ。




ううん、いつもよりも優しい感じがする。






「そんな事はどうでもいいでしょ?それより昨日何してたの?」





「昨日は撮影だって、前に言ったじゃん。」





「嘘つき。昨日真紀と会ってたでしょ。」





「知ってるなら、何で聞くの?そういう事されるのなんかヤダな。」





ドラマ、見てるみたい。




いや、ドラマではすごくラブラブな二人だったのに。




無意識にドラマキャラに当てはめて聞いていると、なんだかショックで。




胸が痛い。






カレンさん、どうするつもりだろう。





別れて次に進めれば一番楽なんだろうけど…そう簡単に割り切れる程、恋って軽くないから。



















すすり泣く声が聞こえる。




カレンさん…





「あんたなんか大っ嫌い!地獄に落ちろ!!」





突然の罵声に驚き、ビクッと肩を揺らした。





すると、バタン!と乱暴にドアが閉まる音が響く。





あれ?ウソ…





カレンさん出てっちゃった?





興奮し過ぎて私の事忘れて…





奥から聞こえるため息は、確かに男の人のもので、出てったのはカレンさんだという事を確信する。

















この状況…ほんとピンチだよね?





私、佐藤さん騙して呼び出したんだもん。





絶対怒るよね?





どうしよう…今すぐ消えたい!





ほんとのほんとに今日はついてない日なんだ…





はぁ…と、うな垂れると同時に、ベッドルームの向こうに人影が揺れるのが見え、反射的に少し開いた扉をパタリと閉じた。





ヤバ…今の音、聞こえたかも。





心拍数がどんどん上がる。





足音を聞こうにも、絨毯に邪魔され聞こえない。





カサカサと、服が擦れるような音が…





近付いて来てる?





心臓が口から飛び出そう。





助けて…翔さん!

















_____キィ…