イイコでしょ?

「もうすぐシャツ届くと思うから、来たら帰っていいから。」





扉の向こうから、カレンさんの少し切な気な声が聞こえて来た。





シャワーを止めて、その声を聞く。






「後は自分で、頑張ってみるから。ごめんね!変な事に付き合わせちゃって。」





「はい…でもカレンさん、大丈夫ですか?」





すごく、辛そう。





「ん!大丈夫。お酒の力は借りずに話し合うよ!」





私に気を使ったのか、最後の声はとても前向きな声だった。

















お風呂を出て、とりあえずのバスローブを羽織る。





大きな鏡の前には、高級ブランドのアメニティセットがズラリと並んでいた。





すご…





使っていいのかな?




いいんだよね?





と言うかさっきシャンプー使っちゃったし。





と、自分に問いかけながら一つ摘まんでみる。





呑気に石鹸の成分表なんかを見て一人唸っていると、突然カレンさんがドアを勢いよく開けて入って来た。






「ヤバイ!もう来ちゃった!ちょっとこっち来て!」





「ひぇっ!?ちょっとカレンさんっ!!」


















シーン……






ここは…クローゼット?





カレンさんに無理やり押し込まれた先は、ベッドルームにある小さなクローゼット。





ベッドルームでさえ薄暗いのに、扉がピタリと閉まったクローゼットの中は真っ暗で。





こ、怖いんですけど。





昔何かの映画で、クローゼットからお化けが出て来たシーンを思い出す。





なんで鮮明に覚えてんのよ…私のバカ!

















足を抱えて座り込んで、黙って扉の向こう側の様子を探るけど、恐怖のドキドキのせいで中々集中出来ないでいた。





少しだけ…ほんの少しだけ、扉を開けてみる。






すると、男女のいきり立った会話が耳に飛び込んで来た。