イイコでしょ?

「なんで帰って来たの。」






「えっ、なんでって、漫画貸してくれんじゃねぇの?」






「バーカ」






「はっ?意味わかんねぇよ、早く漫画出せ!」





インターフォンが鳴り思わず裸足で飛び出したあたしの頭を、優しく撫でてくれて。





こんなとこで泣きたくないし、そもそも恋愛で泣いた事なんてないのに、あたしの意識を無視して零れる涙。





「鼻水出てんぞ」





「気のせいじゃない?」





真っ赤になってるだろう目や鼻を隠すように俯くと、そのままくるっと背中を向け、部屋へ戻ろうと歩き始めた。





「ちょっとお嬢さん?」





なに?と、背中を向けたまま答える。





「こっち向いて貰えます?」





ヤダ。と、背中を向けたまま答える。





「俺背中向けてるヤツに告白したくねぇんだけど。」





「えっ?」





思いも寄らない言葉が聞こえて来て、心臓が大きく波打った。





右腕をぎゅっと掴まれ、グイと引かれると身体が傾く。





「言ってい?」





「だっだめだめだめだめっ!!嘘でしょ?だめだよそんなの…」





「なんでだめ?あ、まさか俺フられる感じ?それは考えてなかったな。」





「いや、違うそうじゃなくって!!」





廊下に響く二人の会話。