イイコでしょ?

扉は32階でゆっくりと開く。





重い足取りでエレベーターを降り、左右に別れる廊下の右へ歩き出した。






「ねぇ、佐藤拓人の部屋ってどこなの?」





なんで知ってんだろ。




翔さんに聞いたのかな。






「反対側の突き当たりですよ。好きなんですか?」





「全然。」





わかんない…本当にこの人わかんない。




頭痛がするような気がして指でこめかみを抑える。




はぁ…

















「美希も飲む~?」





「きゃっ!ちょっと新井さん勝手に部屋入って来ないで下さいっ!」





ジャケットを脱いでいると、突然ドアを開け入って来た新井さん。




勝手にビールも飲んでるし。





こんなに図々しい人なんだ。





「美希の部屋?何もないね。可愛くない。」





可愛くないのはお互いさまでしょ!



そりゃ部屋の広さに比べて家具は少ないし古臭いけど…





「ってか出てけ!!」





ビール片手にほっこり座布団に胡座をかいて座る新井さんに向けて、手にしていたジャケットを投げつけた。

















牛革のソファー、




あれは翔さんのお気に入り。




なのに…






「あらら、ビール零しちゃった。美希ここ拭いて~。」






「んもー!!それ飲んだら帰って下さいね!」





ほっぺた膨らましながら丁寧にビールを拭いてる私を見て、指さしながら笑われて。





ネクタイを緩めて、私が夕食に作った唐揚げも遠慮なく食べてるし。





なんで翔さんこんな人と仲いいんだろうという当然な疑問が生まれる。







「美希~、コレ灰皿にするから~」






「ぎゃぁぁぁーーっ!!もうやめてぇーーっ!!」