イイコでしょ?

少し開いた翔さんの部屋のドア。




そこから覗く大きなブランドのスーツケース。





明日からの出張に備えてさっきまで準備を手伝っていた私。





翔さんはお風呂へ行ってしまい、私はそのスーツケースを複雑な心境で見つめてから、


しばらく出来ない二人の夕食の時間に向けて、準備していたシチューやパスタを仕上げる。





一週間か…長いなぁ。





ただでさえ会えなくてさみしいのに、井上さんも一緒になんて。






結局、本音なんて一言も言えないまま時は過ぎて今日に至る。





_____コトン






トマトのパスタをテーブルに並べ、力なく座り込んだ。






何も聞けない。




向こうでどんな仕事をするのかとか、



ホテルはどこなのかとか、



一緒のホテルなのかとか、



井上さんがまだ翔さんの事想ってる事知ってるのかとか…






何も聞けないでいる自分に腹が立つ。





翔さんは副社長で、私はただの派遣社員からのスタートだったから、頭の何処かに部下としての自分がいて。





ワガママ一つ言えないでいる。





「自分を抑えてたって、良いこと一つもねぇよ。」





カズにぃが言ってた。





私とカズにぃは自分を抑え続けた結果、ああなってしまった。





だからお互い次は失敗しないようにって笑って約束したのにな。





また同じ失敗繰り返しそうな自分が怖いよ。





カズにぃ、どうしよう。