イイコでしょ?

クルリと振り返った海。





俺に視線を向けると、





「そうだよ。好きなの。和くんの事が。大好きだよ。


だけどこれは予定外の告白だから…忘れて。はい、以上、おしまいっ。」





「はい?忘れろって、無理だろ普通に。」






「いや、いいから忘れて。無かった事に。ねっ?はい、帰ろう帰ろう。」






俺の顔も見ずにそう言って、濡れた自転車に跨った。





揺れた自転車からチリン、と小さなベルの音がして、なんだかまた海が遠くへ行ってしまうような気になって、



思わず自転車のカゴにリリを入れて両手でカゴをしっかりと押さえ込んだ。






「ちょっと、待ってよ。やっぱ送る。送らせて?」






「和くん…優しさって、時には凶器にもなるの。あたしの気持ち知ってて、なんでそういう事しちゃうの?


分かってるよ。和くんの中には忘れられない誰かが居て、あたしはきっとそれを越えられない。


だからこんな期待持たせるような事しないで。ずるいよ…」









「それは海の勝手な判断だろ?確かに俺には大切な奴が居る。この先も忘れる事なんて出来ねぇと思う。


けど俺は今お前と話がしたい。もっともっとお前の事が知りてぇんだ。逃げんなよ。


…な?一緒に帰ろ?」









俯いた海の顔を覗き込むと、瞳がブワッと潤って、だけどそれを必死に堪えているのが分かった。






子どもみたいにニィィって歯を食いしばってて、可愛くて頭に触れてみたら、





「あぁっ!ダメっ!お触り禁止!ドキドキしちゃうでしょ!」





って、指さされて怒られた。