Kazuside
帰りに立ち寄ったCDショップに、海が居た。
何で気が付かなかったんだろ。
真四角のプラスチックのケースの中で、ギターを抱きしめるようにして遠くを見つめる海。
店の入口に沢山並べられたシングルCDを一枚手に取って、直ぐに元に戻した。
明るい店内に居る海の姿が、なんか似つかわしくなくて。
美希が言ってた。
「カズにぃはもっと女心を理解しなきゃ!」
ほんとそうだな。
美希の時から何の進歩もねぇ自分に呆れる。
自分から番号の催促するなんて、大分勇気がいっただろう。
そんな事もわかんなかった俺は、突然らしくもねぇ事を言い出した海に驚いて、誤魔化すように逃げた。
だから俺はもうあいつに会う資格なんてないのかも知れない。
だけど…
視聴コーナーにあった海の曲を聴いてみる。
海の気持ちが知りたくて。
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カップリングに収録されていた曲。
海に初めて会ったあの日に歌っていた曲。
歌詞に込められた言葉が、胸の奥に響いていく。
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冷たい星が降る場所で
蒼い月に照らされた横顔
歪んだ声 震える肩 またなにも言えず
同じ空見てるはずなのに
諦めては封じる つれない距離
いっそ今日の体温まで
奪って欲しいのに…
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海の、切ない表情が頭を過る。
なんでか無性に会いたくなった。
どっかで泣いてんのかも。
この会いたいって気持ちは、好きだから、とは何か違う気がして。
かと言って友達だからって言うのも引っかかる。
自分の気持ちがよくわからないまま、CDを一枚手にしてレジへと持って行った。
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