「あ、今度のNYへの出張だけど、私も一緒に同行する事になったから。」
「えっ?」
「向こうの支店長は私のおじさんだから。」
「そう言えばそんな事…」
「社長の時も同行してたし、これは社長から命じられた事だから。」
「そ。」
そんな会話を、井上さんが手にしたブランド物のバックをぼんやり見つめながら、どこか他人事のように聞いていた。
じゃあ、と帰ろうとした井上さんを翔さんが呼び止める。
「由香、送ってくよ。もう遅い。」
付き合っていた頃の名残りが、まだ身体に染み付いてんだ。
翔さんの口から名前が出た瞬間に、胸が張り裂けそうになった。
井上さんは私の顔色を伺うように、チラチラと視線を向け、
「いえ、いいわ。タクシーで帰るから。」
「いや、この辺タクシー中々掴まんねぇし、送るよ。美希ちょっとこいつ送ってくるから、先に寝てろ。」
「えっ?あ、はい。」
・
・
・
イヤだ。
なんて子どもみたいなワガママ言えない。
ほんとは大きな声で叫んで縋って、泣いて喚いて…
行かないで、って。
出張だって二人きりなんて絶対嫌!って。
声に出して言いたいのに。
二人の背中を笑って見送る…
弱い私は、ドアが閉まると同時に涙を一粒零した。
・
・
・
夢の中でも分かる。
翔さんが小さな私の背中、抱きしめてくれた事。
ありがとう、って夢の中で呟いた。
この腕があれば、私はいつだって幸せを取り戻せるよ。
何があっても、信じるから。
もっと私を愛して。
・
・
・
目が覚めるとベッドの上。
夢の中と同じ、翔さんに包まれていた私の身体は、朝から幸せを噛みしめる。
「ありがと…」
小さな小さな言葉を零すと、それに応えるかのように、私を包む腕にぎゅっと力が増した。
まだ夢の中の翔さんを起こさないように、そっとベッドから抜け出して、二人で食べる朝食を作りにキッチンへと向かった。
・
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「えっ?」
「向こうの支店長は私のおじさんだから。」
「そう言えばそんな事…」
「社長の時も同行してたし、これは社長から命じられた事だから。」
「そ。」
そんな会話を、井上さんが手にしたブランド物のバックをぼんやり見つめながら、どこか他人事のように聞いていた。
じゃあ、と帰ろうとした井上さんを翔さんが呼び止める。
「由香、送ってくよ。もう遅い。」
付き合っていた頃の名残りが、まだ身体に染み付いてんだ。
翔さんの口から名前が出た瞬間に、胸が張り裂けそうになった。
井上さんは私の顔色を伺うように、チラチラと視線を向け、
「いえ、いいわ。タクシーで帰るから。」
「いや、この辺タクシー中々掴まんねぇし、送るよ。美希ちょっとこいつ送ってくるから、先に寝てろ。」
「えっ?あ、はい。」
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イヤだ。
なんて子どもみたいなワガママ言えない。
ほんとは大きな声で叫んで縋って、泣いて喚いて…
行かないで、って。
出張だって二人きりなんて絶対嫌!って。
声に出して言いたいのに。
二人の背中を笑って見送る…
弱い私は、ドアが閉まると同時に涙を一粒零した。
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夢の中でも分かる。
翔さんが小さな私の背中、抱きしめてくれた事。
ありがとう、って夢の中で呟いた。
この腕があれば、私はいつだって幸せを取り戻せるよ。
何があっても、信じるから。
もっと私を愛して。
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目が覚めるとベッドの上。
夢の中と同じ、翔さんに包まれていた私の身体は、朝から幸せを噛みしめる。
「ありがと…」
小さな小さな言葉を零すと、それに応えるかのように、私を包む腕にぎゅっと力が増した。
まだ夢の中の翔さんを起こさないように、そっとベッドから抜け出して、二人で食べる朝食を作りにキッチンへと向かった。
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