イイコでしょ?

「大丈夫です。あの、あなたは確か秘書の…」





「井上由香です。あなたは副社長の奥様の美希さんですよね?」





柔らかな声で名前を呼ばれて、少しドキっとした。




急いで起き上がると、井上さんは散らばった資料を一緒に集めてくれた。




何度か見かけた事はあったけど、こうやって話すのは初めて。




綺麗に束ねられた髪を見て、和服とか似合うだろうなーなんて余計な事を考える。














「これで全部ですね。」





「あ、すいません。ありがとうございます。」





拾って貰った資料を受け取って、ぺこりと深く一礼した。





「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。」





「へっ?」





「いつも助けられてるんです。翔くんには…」





翔くん…?





井上さんはまだ何か話していたけど、私の耳には入って来なかった。






彼女の口から、「翔くん」って言葉が出るのに、違和感を感じたから。





社長秘書と言う事は、副社長である翔さんとも関わる事が多いんだとは思うけど…





呼ぶかな?





上司である副社長の事、翔くんって。