イイコでしょ?

「お邪魔…します…」





自分の家で、唯一足を踏み入れない場所。




翔さんの部屋。





自分の枕を抱きかかえながら、遠慮がちにソロソロと中へ進む。





ドアが開いた時に、たまにチラッと見える程度だったから、全然部屋の内部とかは分からなくてずっと謎だったんだ。





私より先にお父さんが入った時は、すごくモヤモヤしたけど…





今日やっと、入る事が出来た。





なんだか、翔さんのプライベートを覗き見してるようでドキドキした。






壁際に置かれたブルーのシーツが掛かった大きなダブルベッド。





反対側の机にはパソコン機器が並べられている。






翔さんらしい、とても綺麗に整頓された部屋だった。






「何突っ立ってんだ。早く寝るぞ。」






部屋の真ん中でキョロキョロしていた私の横をスルリとすり抜けて、先にベッドに潜り込んでしまった翔さん。





前は、私の部屋で私のお布団だったけど、今回は違う。





全てが翔さんの匂いに包まれてる。





ちゃんと寝れるかな。














「失礼します…」





緊張して僅かに震える手を抑え、電気を消してから、背中を向けてる翔さんの隣に、静かに潜り込んだ。





ベッドが大きいから、普通に仰向けに寝転んでも今回はちょっと余裕がある。





良かった。




前みたいにここで抱きしめられると、緊張で眠れなくなっちゃうからね。





でも…するかな、キス。




ドキドキとソワソワで目が冴える。




すると…





「おやすみ。」





「えっ?あ、はい。おやすみなさい。」






背中越しに聞こえた、眠そうな声。





そうだよ、翔さんお仕事で疲れてんだよ。





キス、したかったなぁなんてちょっと期待しちゃった自分が恥ずかしい。





でも…






首を横に向けると、すぐそこには翔さんの背中があって、寝息に合わせて上下に揺れている。





来ると思っていたキスをお預けにされちゃった私は、背中を向けて直ぐに寝てしまった翔さんに物足りなく感じてしまっていた。