イイコでしょ?

「あっ!!そう言えばさっきジムで、佐藤拓人さんと会ったんですよ?知ってます?佐藤拓人!!」






依然として私の膝の上でゴロゴロする翔さんに、さっきの思わぬ出会いを、ちょっと興奮気味に話してあげた。





「すっごい爽やかでね、ドラマで見てた印象と全く違ってすごく気さくで良い人だったんですよ!!」





「…」





一言も喋らずピクリとも動かなくなってしまった翔さんにやっと気付いて、眠ってしまったのかと思い、顔を覗いて見る。






すると突然むくりと起き上がった翔さんの顔が目の前に現れて、反射的にグイっと後ろに仰け反った。






目を細めながら不機嫌そうな顔をこちらに向けて、





「他の男の話をするイカレタ口は、この口か?」





そう言って大きな右手で私の頬をぎゅぅっと挟むから、私の唇がピューっとひょっとこみたいに尖ってしまった。





「ひょーひゃん、ひゃめひぇ!」





マヌケな顔してマヌケな声で抵抗しても、笑われるばかりで。





もー!が、みょー!になる悔しさ。




ジタバタと藻掻くけど、中々離してくれなくて、その間もずっと笑われた。





どうやってもひょっとこからは脱出出来そうになかったから、そこで諦め、ひょっとこのままシュンとうな垂れる。






「お前が悪りいんだからな。他の男の話なんかすっから。」





「ぎょめんなしゃい…」





「どうしよっかなー♪」





ニタニタと薄笑いを浮かべながら、何かを楽しそうに考え始めた翔さん。




さっきまで疲れてグッタリしてたのに。




嫌な予感…





視線がバチリとぶつかると、スッと素早く顔を寄せて来た翔さんのプックリとした唇と、私のひょっとこ唇が、触れそうな距離まで縮まった。




驚いて瞼をグッと瞑っていると、





「じゃあ…今日から俺の部屋で一緒に寝る事。」






「ん?」






と、変に低い声で答えると同時くらいに、唇からチュッというリップ音が聞こえた。