イイコでしょ?

トン…



オデコがぶつかる。






目の前で揺らめく、翔さんのまつ毛。




翔さんの腰を挟んでいる太ももが、ずっと恥ずかしくて、こんな態勢耐えられなくて、早くデスクを降りたかった。





「キスは?こないだ教えてやったろ?美希からしろ。」






心臓が潰れそうなくらい緊張してるのに、またそんな無茶言う。




「ヤダ…早く、帰ろうよ」





「キスしてくれたら帰る。」





「そ…んなぁ。」






ニヤリ、と上がった口元だけが視界に映りこんだ。



また楽しんでる。






「私、翔さんと違って…慣れてないからっ…まだまだ恥ずかしいんです」






頑張って素直な気持ちをぶつけたのに、翔さんは、それで?と言ってまた口元をクイッと上げた。






「早くしろ。腹減ってんだよ。」






帰りたいなら帰ればいいのに!



意地悪…



きっとカルシウムが足りてないんだ。



牛乳いっぱい買って帰ってやる…






仕返しをあれこれ考えながらも、覚悟を決めて苛立ち始めた唇にそっと唇を落とした。






唇を何度も啄むように重ねる。




その度にどんどん熱っぽくなっていく身体。




翔さんの熱い口内に舌を差し込み、中でグルリと舌を絡ませ合うと、





「……ン…っ…」





こぼれ出る甘い声。






何度やっても慣れなくて、どうしたって緊張からは逃げられない。





早く慣れて翔さんとのキスを楽しめるようになりたい…





固く結んだ瞼の裏で、そんな風に考えた。






でも…






激しさを増して、小さな水音を立て始めるキスに、





翔さんの右手が太ももを撫でると…






こんなの、慣れるはず無いよ。





「……ァ…ン…っ」






瞑った瞼が震え、脚に力が入って翔さんの身体をギュッと挟み込んだ。





甘噛みされた下唇からハァ…と熱い息を零す。






「続きは帰ってからな。」






突然ピタリと遮断されたから、私の身体は熱を帯びたままポーっとしてて、





そんな私の頬に、翔さんは唇を寄せて、チュッと可愛くキスをした。















「行くぞ。」





「はい…」





歩き出した二人の手は、しっかりと指が絡んで、そこには確かに感じる絆が生まれていた。