少し遠くで、話し声が聞こえる。ここが学校なのは分かる。でも、ここはどこだろう?私は制服では無く、体操着で寝ているけれど、いままで制服だったはず。そう思い、体をゆっくりと起こした。そして、承太郎くんと典明君がいると思われる方向に声を掛けた。
「Qui doit-il être là?(そこにいるのは誰?)」
と聞いた。すると、奥からバタバタと音を立てながら典明君がやってきた。そして、
「ああ、良かった!目が覚めたんだね!焦ったよ…。僕が君のスタンd…ムググ」
と、何かを言いかけた。後ろから典明君の口を塞いでいる承太郎君は、
「言うんじゃねえ。花京院。また、こいつが気絶したらどうするんだ。」
と言った。あ…。私、気絶してしまったんだ…。そう思うと、元々私のせいで承太郎君と典明君と…。あと…。誰か分からない二人に迷惑をかけてしまったことに対して責任を感じた。すると、典明君と承太郎君が慌てたように声を出した。
「お、おい!なに泣いてるんだ!?俺等がなにか、したか!?」
と、心配をしてきた。
「Mentir…? Crie-je?(嘘…?私、泣いてるの?)」
と、私は頬に流れている涙の存在に気付いた。すると、承太郎君が私の方に手を伸ばしてきた。私は、怒られる、と思い、ギュッと目を瞑った。すると…。
「泣いてんじゃねぇよ。」
と言い、私の涙を拭ってくれた。私は、こんなに優しくしてもらったことがなかったからなのか。それとも、昔、私を助けてくれた人に面影が似ていたからなのだろうか。それは分からなかったが、胸の奥で、ドキッとした。そして、顔が赤くなっていくのがわかった。