「入れ」

「失礼いたします」


光輝の許可を得た男性が入ってくる。


「何だ?」

「先程風の国から死者が見えまして、これを」


そう言って、一通の封筒を差し出してくる。

その封筒はしっかりと綴じてあり、風の国にいた時に何度かみたことのある風の国の印が押してあった。

受け取った光輝が封筒を開け、中の紙に目を通す。


「これは!」

「何が書いてあったの?」

「王位継承式についてだ。日程とか詳しいことが決まったらしいな」


言いつつ、差し出された紙を花音は受け取り、目を通す。

その紙には継承式を行うのであろう一週間後の日付と時間が書かれていた。


「いよいよか。数日前には行くようだから、また仕事が溜まりそうだな」


溜め息混じりに光輝は言ったが、その表情は何処か明るいものだった。