見回してみても、紫狼、沙羅、梨亜、夜月、風牙の姿はない。


「今は魔界も色々混乱しているみたいでね。忙しいみたいよ」


キョロキョロと見回していた花音に気付いて、琴音が言う。


「・・・・・・そう。挨拶くらいしておきたかったんだけど」

「ま、仕方ないだろ。それより、まずは神界だろ。その次は何処へ飛ばせばいい?」

「風の国でいいんじゃない?まだ、大体の一族がそこにとどまっているみたいだし」

「わかった。それでいいか?」


刹那が確認するように問い掛ければ、雷牙達は頷いた。


「よし、じゃあ、行くぞ」


そう言って刹那が集中し始めたのとほぼ同時に、それまで近くにいた風夜が力の範囲から抜けるように花音達から離れた。