「ね?これじゃあ、もう二人を追い掛けられないよ」
そう言った花音に仕方ないというように風夜は溜息をついた。
「・・・わかった。それなら、協力してもらう。但し、無理はするなよ」
「うん。援護は任せてよ!」
そう返せば、もう一度溜息をついてから、風夜が床を蹴り、魔族達の中へと切り掛かっていく。
その際、小さくだが聞こえた「任せた」という言葉に花音は小さく笑うと、風夜の動きに注意しながら、雷と時の珠を取り出し、火の珠と同じ様に弓にはめ込んだ。
そして、風夜の隙をついて攻撃しようとする魔族に向けて、先ずは時の矢を放ち動きを止めると、続けて攻撃力の高い雷と火の矢を上空に向けて放った。
動きを止められた魔族達は火に焼かれ、雷に打たれていく。
その間にも風夜は次々とそれ以外の魔族を倒していく。
背後をそんなに気にしていない様子の彼に、花音はそれだけ自分を信頼してくれているのだと嬉しくなった。

