「・・・あいつらなら大丈夫だ。追いかけてくるって言ってただろ」


不安そうな顔でもしていたのか、肩を叩いて風夜がそう声を掛けてくる。


「そうだな。それに此処が一番危険と言ったら、危険な場所だ。人のこと心配している場合じゃないぞ」

「わ、わかってるよ。・・・行こう。置いていかれちゃう」


風牙にも続け様に言われ、花音はそう返すと先に行っている三人を早足で追い掛け始める。

その後ろで風夜と風牙が笑う気配がしたが、気付いていない振りをした。

その二人と共に先に行っていた神蘭達に追い付いたのは、城の広間でそこには巨大な甲冑を付けた像があった。

見上げた像の表情は恐ろしいもので、花音は思わず身震いする。


(まさか、動いたりしないよね?)

「花音、どうした?」


足が止まっていた花音を不思議に思ったらしい風夜が聞いてきたのに、誤魔化すように笑う。


「ううん。何でもないよ」


そう返して再び歩き出した花音は、像の目が自分達を追いかけていることには気付かなかった。