「・・・・・・何とか説得しての妥協案があれだったんだよね」
「まぁ、帰ってしまったものは仕方ないさ。俺達も戻らないと」
「・・・・・・そうね。残念だけど、諦めるしかないわ」
大樹に頷いた水蓮が、風華を促し踵を返す。
ついで踵を返す光輝達に気付かれないよう、花音は彼等からは死角になっていた場所を見る。
其処からは丁度翼を生やした風夜と風牙が飛び去るところだった。
「姉上?」
「どうした?何かあったのか?」
「ううん。何でもないよ」
ついてきてないことに気付いたらしい光輝と夜天にそう返し、花音はもう一度だけ二人が去っていった方向を見る。
(・・・・・・またね)
そして、もう姿は見えない二人に心の中で呟くと、花音は先を行く光輝達に追いつく為走り出した。

