「じゃあ行こうか。」


「うん。」


そう言って下足室を出ようとしたその時。




「おい。」



聞き慣れた低い声が私の耳に届いた。



反射的に振り返ると、部活中なのか首にタオルをかけて、ユニフォームを着ている涼介くんの姿。


相変わらず私を見る目はすごく怖い。



「……涼、介くんっ」



やっと出た声はびっくりするほど弱々しかった。




「お前こいつとどこ行くんだよ。」



そう言って私の隣にいる雅也くんのことを睨む。



雅也くんのことをちらっと見ると雅也くんも涼介くんのことを睨んでいる。



…なんか今にでも喧嘩が始まりそうな雰囲気。



「別にどこ行こうが山梨には関係ないだろ。」



答えたのは聞いたことのないほど強い雅也くんの声。


雅也くんの顔は今までになく険しかった。