金澤さんと私は、赤の他人なのに。 私がもう一度遠慮すると、金澤さんは私の頭に手をのせて少し悲しそうな顔をした。 「俺じゃ確かに、役不足かもしれないけど大人を少し頼って」 「・・・でも」 「今日は疲れたでしょ?南さんも休むの!!だから三人で帰ろ」 嬉しかった。 まだ私にも、一緒に帰ってくれる人がそばにいる。 家には、たった一人の弟が待っている。 金澤さんの腕の中で安心して寝ている妹がいる。 卓哉と莉奈を考えるだけで、私はどこか安心できた。 .