「『俺が、大人にしてあげようか?』
なんて、妃莉ちゃんに言っておきながら……。
大人にしてもらったのは、俺のほうかもしれないね」



「……っ」



「ごめんね。
それから、ありがとう。
俺の大好きな、妖精さん」



そう言ってくれたセンパイの顔は……。



今まで見たセンパイの笑顔の中で、一番素直で素敵だった。



「ほら、早くっ。
行っておいで。
大好きな……碧のところにっ!」



「はい……。
ありがとうございます。
小嶋センパイっ……」



お礼を言って、それから、妃莉はかけだした。



碧くんに……。



妃莉の好きを伝えるために。