「えっと、そうじゃなくて。
ママとパパは海外で……」



焦って、続きを言おうとした。



そしたら……。



「せかすな、川瀬。
困ってんだろ?
ソイツ」



隣の席の男の子が、助け舟を出してくれた。



「あー、そっか。
ごめん、ごめん。
あたし、めちゃくちゃ、せっかちだからさ」



葵ちゃんが、頭をかきながら、豪快に笑った。



「で?
なんだっけ」