「そういえば、妃莉……。
最近、中ノ瀬センパイのこと、あまり話さないよね~。
どうしたの~?」



球技大会当日。



制服から体操服に着替えながら、葵ちゃんが言った。



葵ちゃんは、実行委員じゃないから、こんなに早く学校に来る必要はないんだけど……。



忙しい妃莉を手伝いたいって、妃莉と一緒の時間に来てくれたの。



ものすごく優しい、葵ちゃん。



着替え終わって、パタンとロッカーの扉を閉める。



「それに、“好き”って言葉も聞いてないな~。
もう、中ノ瀬センパイのこと、好きじゃないの?」