一瞬の間のあと、さっきとは、比べ物にならないほど冷たい翠くんの声が聞こえた。



「家になんか連れ込んで……。
妃莉ちゃんに、なにするつもりだったんですか?」



言葉使いが、敬語に変わっている。



「べつに。
一緒に、晩飯食うつもりだったけど?」



対するセンパイは、ひょうひょうと……いつも通りの笑顔を浮かべている。



「ちなみに、お伺いしますけど……。
朝陽くん家、今、どなたかいらっしゃいます?
ご家族の方」



「いいや。
俺、ひとりだけ」