カバンを肩にかけて、レジへ向かった。



ちょっぴりワイルドな男の人が、妃莉を見て、ニコッと微笑んでくれる。



「妃莉ちゃんだっけ?
碧から聞いてる。
お会計は、もう済んでるからいいよ」



「あ、ありがとうございます。
ごちそうさまでした」



ペコッと少しだけ頭をさげた。



そして、そのまま、すぐに帰ろうとした。



碧くんにも会いたくなかったし、それに……。



泣きはらした顔も、見られたくなかったから。