驚く妃莉の前。



碧くんは、もう一方の手も冷蔵庫からスッと離した。



「いつもは、めちゃくちゃ“好き”とか言うくせに。
こういうときは、言わないんだ」



「……え?
なにを?」



「好きだから、知りたいって」



そう言った碧くんの目は、冷たいを通り越して、なんの感情も浮かんでいないみたいだった。



こんな碧くん……はじめて見る。



固まって動けない妃莉を見下ろし、碧くんは、フッと切なそうな笑いを浮かべた。