「ねー、妃莉~。
片倉のこと、どうすんの~?」



移動教室のとき、並んで歩きながら、葵ちゃんが聞いてきた。



「答えはー……。
ん-……。
聞かなくてもわかる気もするけど……」



家庭科の教科書を口元にあて、ごにょごにょ言いにくそうにしている。



「でも、さー。
アイツ。
なんだかんだいって……。
けっこう、いいヤツなんだよね」



葵ちゃんは、妃莉を気遣いながらも、片倉くんのことをほめた。



「だから、ちゃんと……。
考えてあげてね」