あたしの問いかけには答えず、碧くんは、またネクタイを結び始めた。



「俺のこと。
幼なじみ以前に、お兄ちゃんとか思ってる?」



キュッと最後にネクタイをしめて、碧くんは妃莉からスッと離れた。



「でも、俺は。
妹とか思ったこと、一度もないから」



ドアノブに手をかけ、碧くんは、ほんの少し振り返った。



「だから、妃莉……。
俺の部屋には、もう、来んな」



冷たい声だけを残し、碧くんは、バタンをドアを閉めた。