「未来と梨花…二人の心からの笑顔が見れたから…もう良いじゃない…。
はじめから…私に勝ち目なんてなかったんだから…。」
そう小さな声で呟くと、頬を涙が伝って手の甲に落ちた…。
どうして今ごろ…涙が出るんだろう。
あの時は平気だったのに…。
悲しくても泣かなかったのに…。
あの時の想いが涙に変わるまで、こんなに時間が掛かるなんて…。
【痛み】がこれ程深いところに有ったなんて…。
でも…大丈夫…。
この賛美歌とパイプオルガンの音が、私の涙を澄んだ水に変えてくれる…。
泣くだけ泣いたら…また…前を向いて進もう…。
そう思った時だった…。
「(何か悲しいことがあったの?)」
後ろから穏やかな男性の声が聞こえた。
驚いて振り返ると、そこには神父様が立っていた。
「(えぇ…。相手の幸せを願って、好きな人と離れたんです。
自分で決めたことなのに、気を抜くと、すぐ後ろ向きな考えに戻ってしまう。
中々…前に進むことができないんです。)」
「(そうか…じゃあ君にいいものをあげよう。)」
そういって神父様がどこかへ行き…そして戻ってきたときに持っていたもの…。
それは…結婚式に使われたものなんだろうか…とてもセンス良く纏められたブーケだった。

