「人は誰でも『あの頃に戻りたい』って思う時があるだろう? でも…俺の場合はちょっと違った。 過去と共に生きて来たから…。 たまに昔の思い出を取り出して懐かしむ……ていう訳じゃなくて… 毎日梨花との過去の思い出に寄り添って、その日、1日1日を凌いで過ごしてきた。 真紀と過ごしながらも…梨花と居るような錯覚さえ起こすくらい…梨花の事を想っていたよ……。」 未来が私の手に、そっと自分の手を重ねた。 ————未来の手は少し震えていた。