私の上司





梶野さんの希望もあって今回の旅行は温泉地に決まった。




麻木さん、梶野さん、松原さん、
桜ちゃん、私、


…修斗さん。

のメンバーで。






「花凛。
お前温泉行くまでの一週間はダイエットだな。」




私に資料を渡すついでにそう言った修斗さん。




『え?』





「お前のその体じゃ見てる方も気分悪くなるだろ。

せっかく温泉に来てる人に迷惑だ。
…つまり痩せろ。」




しばらく修斗さんを真顔で見つめてしまった。




『…え、


な、なんて事言うんですか!

ひどいですよ!
いくらなんでも女性に向かって言う事じゃありません!』




むーっと顔を膨らませて見せても鼻で笑われるだけだって知ってるけれど。




「反論できる体型じゃねぇだろ。
毎日帰りにドーナツ買ってる事知ってんだぞ。」



『うぅ…っ』




毎日帰りにドーナツ屋さんに寄ってる事、気付かれてたなんて…


ちょっとした楽しみがあっという間に恥ずかしい事になってしまった。





「麻木達に俺がデブ専だと勘違いされる前に痩せろ。」





『そんなに…デブじゃないですよ。』




もう強い口調を使うのにも疲れてしまった私は溜め息混じりに修斗さんに背中を向けた。