私の上司






修斗さんは興味無さそうだったのは知ってるけど

…あんなに可愛い子にアピールされたら好きになっちゃったりしないかな?




オフィスでちらりと修斗さんを見ると
真剣な横顔。


それだけでキュンとしちゃうくらい重症なのに。



モヤモヤと心配だけが膨らんでいく。





「お前全然違うぞ。
しっかりしろよ桜。」



名前でなんて呼ばないで欲しい。



「あっすいません!」

「気を付けろよ笑」



そんな素敵な笑顔見せないで欲しい。



なんで…なんで。



視界が歪んで
ダメって思っても涙が溢れそうになる。




周りに悟られないように
手元の資料に視線を移した。






嫉妬って怖いね。

考えてる事が自分でも嫌になっちゃうのに。




こんな時にはいつも以上に優しい声で"大丈夫"って囁いて欲しかった。

そしてぎゅって逞しい腕で抱きしめて欲しかった。






「花凛。
ここに電話掛けといて。」



『……』



いつも通りの彼が悔しい。


多分今の顔酷いから…
見せられないよ。




「どうした?
体調でも悪い?」


『…大丈夫です』





下を向いて小さく呟いた。

本当は気付いて欲しかったのかも。



…でも




「一ノ瀬部長っ!」



彼女の弾むような声で





「…また、来るから。」





…修斗さんは遠くに行っちゃう。