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「女に振られて泣くとか、
最高にかっこ悪いよな。」
私に背を向けて
小さく笑う梶野さん。
「余裕で振られてやろうって…思ってたのにさ。」
『…梶野さん。』
静か過ぎる廊下には
梶野さんの小さなすすり泣く声が
響いた。
「…俺の花凛の好きな所。
どうせ今くらいしか伝えられないから聞けよ」
『…はい』
振り返って私を見て
優しく笑って見せた。
「…不器用だけど一生懸命なところ。」
「人の優しさとか
気遣いを直ぐに気付けるところ。」
そんなの、
全部梶野さんにはかなわないのに。
「…単純な所。」
全部…全部
さきに気付いてくれるのは。
『…そういう人の良い所をすくい取ってくれる梶野さんの
素敵なところ。
入社当初から憧れで…
梶野さんの方がいい所沢山ありますよ
私なんて…負けちゃうくらい
私、梶野さんに好きって言われた時…
素直に嬉しかったです』
梶野さんのネクタイの柄が視界でアップになって
抱きしめられてる事を悟った。
「…そんな事、言うなよ。
諦めつかねぇだろ。」
シトラスの香り…
爽やかな彼の香りを感じる事が出来て
「…ごめん、
あと少しでいいから。」
今彼を受け止める事は
悪い事じゃないって思えた。
『…これからも
梶野さんは私の憧れです。』
無理に明るく
言ってみたの。
修斗さんよりも細身な体。
多分その体には抱えきれない程の色々な物を背負っている。
彼の背中に腕を回すと
梶野さんからは
「好きだから…」
一言が涙と共に零れた。
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「女に振られて泣くとか、
最高にかっこ悪いよな。」
私に背を向けて
小さく笑う梶野さん。
「余裕で振られてやろうって…思ってたのにさ。」
『…梶野さん。』
静か過ぎる廊下には
梶野さんの小さなすすり泣く声が
響いた。
「…俺の花凛の好きな所。
どうせ今くらいしか伝えられないから聞けよ」
『…はい』
振り返って私を見て
優しく笑って見せた。
「…不器用だけど一生懸命なところ。」
「人の優しさとか
気遣いを直ぐに気付けるところ。」
そんなの、
全部梶野さんにはかなわないのに。
「…単純な所。」
全部…全部
さきに気付いてくれるのは。
『…そういう人の良い所をすくい取ってくれる梶野さんの
素敵なところ。
入社当初から憧れで…
梶野さんの方がいい所沢山ありますよ
私なんて…負けちゃうくらい
私、梶野さんに好きって言われた時…
素直に嬉しかったです』
梶野さんのネクタイの柄が視界でアップになって
抱きしめられてる事を悟った。
「…そんな事、言うなよ。
諦めつかねぇだろ。」
シトラスの香り…
爽やかな彼の香りを感じる事が出来て
「…ごめん、
あと少しでいいから。」
今彼を受け止める事は
悪い事じゃないって思えた。
『…これからも
梶野さんは私の憧れです。』
無理に明るく
言ってみたの。
修斗さんよりも細身な体。
多分その体には抱えきれない程の色々な物を背負っている。
彼の背中に腕を回すと
梶野さんからは
「好きだから…」
一言が涙と共に零れた。
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