私の上司





しばらく沈黙が続いて


立ち尽くしている修斗さんの顔を見る事が出来なかった。






その沈黙を破ったのは梶野さん。





「俺が誘ったんですよ。」





…いつもより、少し強い口調で
修斗さんの目を見る。






「どういうつもりだよ。」






修斗さんもまた
感情のないトーンで梶野さんに問いた。






「…無理矢理彼女にして楽しいですか?」






想像もしていなかった言葉に驚いて梶野さんを見ると

その目に迷いなんて無くて。




修斗さんの拳に力が入るのを見た。








「…無理矢理?」







「無理矢理ですよ。
花凛の気持ちも知らないで急に彼女にして

自分勝手ですよね?」







『…梶野さん違う!
違うから。』





気付いたら大きな声が出ていて
二人も驚いたように私に視線を移した。



修斗さんから伝わってくるのは
怒りと悲しみ。





『…修斗さんごめんなさい。』






…それしか言えなかったの







「謝らなくていい。
もう分かったから。」






私を見て小さく笑うと





「別れてやるよ。
…これで自由だろ?」






一番、

…一番聞きたくなかった言葉を残して修斗さんは店を出て行った。







『…っ…違うっ…違うのに…』







涙が溢れて止まらない私を
梶野さんはそっと抱き寄せてくれて。







修斗さんよりも細身な体に
私の涙のシミが付いた。