私の上司



椿さんに笑顔で手を振ってオフィスに入った私は

あと少しでお昼休みだという事に気付いた。



…どうしよう



修斗さんにはバレないように梶野さんと簡単にお話を終えよう。




デスクに不在だった梶野さんの資料の上に小さなメモを置いた。



<近くのファミレスで待ってます>



修斗さんがファミレスに行く事なんて滅多にないし友達と会うって言うにはうってつけ。



小さな罪悪感を背負いながら
少し早めのお昼休みに

ファミレスに向かった。





お昼の街は平日でもカップルで賑わっていて

修斗さんの誘いを断ってしまった自分が悔しい。




修斗さんから誘ってくれる事なんて滅多にないし普段は忙しいのに。




小さく溜息をついて
入ったファミレスは私の心とは反対に

とても賑わっていた。




お財布をキュッと握って二名です、と言ってしまった時

修斗さんの顔が浮かんだ。





ぎゅっと抱きしめてくれた時
香った修斗さんの香りが大好き。




嘘だったなんて今更言えないし

第一梶野さんのお話の内容が分からないから…






「わざわざファミレスとか。
どんだけ長く話すつもりですか。」




呆れたように笑いながら
私の向かいの席についた彼を



異性として…

見てしまう自分が嫌になる。