私の上司

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『今日も残業か~』



グッと伸びをしてから溜息をついた。

オフィスの硬い空気が
私の溜息を吸っているよう。



修斗さんとホテルに行ったあの日から約1ヶ月。



使い物にならない社員の一人をしっかり任されている私は

今日も残業。




「手伝おっか?今日暇だし。」


隣の席から聞こえる麻木さんの声にジンとしてしまう



『優しい…』



「普通だろ
同期は助け合わないと。」



そう言ってパソコンの画面を覗きこむ彼の優しさに感動していると




「バカはまた残業ですか。」



呆れ声の梶野さんの声が降ってきた




『バカは余計ですよ!』




むーっとした私の顔をつねりながらも
私の資料に目を通してくれて。




さりげなくコーヒーを置いてくれる松原さんにも温かさを感じた。











皆が手伝ってくれた事もあり
残業も少し早めに切り上げる事が出来た。





『ありがとうございました!』




手伝ってくれた皆に頭を下げると



大丈夫だよって優しく笑ってくれるんだから
私は幸せ者だなって思うの。




コツコツと私の靴の音が響くのは誰もいない廊下




突き当たりのエレベーターまで歩くと

だんだん、人影が見えた





「おっせぇよアホ。」




ワイシャツなら覗く首が、
汗で光って眩しい





『…待っててくれたんですか?』




私が尋ねても






「……行くぞ」






何も答えずにエレベーターのボタンを押す彼の背中に

体を預けてみた。




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