私の上司




修斗STORY






会社に入っていくら業績を伸ばしても

いつも親父の七光りとかなんとか。





オフィスにいるのが
苦痛な日々を送っていた当初。





色んな女が
ルックスや業績を理由に告白してきたけれど相手にもしなかった。







正直、うんざりだったんだ。








俺が会社で大きなミスをして首になっても

ずっと隣にいてくれるような相手は一人もいなかったと思う。






でもそんな毎日の中で




「…私、一ノ瀬さんの落ち着いた雰囲気に凄く惹かれて。」





優しく微笑む椿だけは
俺の中身を愛してくれるように思った。






「…修斗さん、大好きですよ。」






ぎゅっと抱きしめた時に感じるシャンプーの香りが好きだった。




いつも仕事を応援してくれる温かさが好きだった。





運命の人に巡り会えた、そう思ったんだ。







…なのに







「修斗さんは特別なんだからもっと業績伸ばせたんじゃない?
私の応援が悪かったのかな?」






だんだん、
他と同じように俺を特別扱いする椿に腹が立ってきた。







「…部長ってそんなに甘くないと思う。」






ストレス社会で戦う俺を癒してくれる椿はもうそこにはいなくて。






「…別れよう。疲れた。」





俺の軽くみた運命は1年で終わりを告げたんだ。







そんな時に入社してきた花凛。




誰よりも純粋な瞳で俺を写す君だけは…

信じてみたいってそう思って。



…ただ支えて欲しかったんだ。



その純粋な瞳で他の奴と変わらない俺を見抜いて欲しい。





強がって生きて手に入れた業績なんて褒めてほしくない。

ただ純粋に一人の男として愛して欲しい。







花凛は俺が思っていたよりもずっと素直で単純で、

だからこそ他の男との心配は俺の中でどんどん大きくなる。






俺だけを見ろよ。



俺だけの花凛で。







だんだん欲が自分を支配して

どうにも出来なかった。